タイトル | : Re^3: 細かい話─カンタータの歌詞 |
投稿日 | : 2007/06/29(Fri) 22:45 |
投稿者 | : 葛の葉 |
おひさしぶりです。
> 新バッハ全集の一応の完結でなんとか「公認稿」になるかもしれませんが、これが真実かどうかはわかりません。
もちろん新バッハ全集が絶対に正しいということはありえませんが、非常に入念に行われた仕事であることは間違いありません。
ところで、ヘンスラーのバッハ全集の歌詞対訳には、次のような断り書きがあります。
曰く、リリングが録音した頃には、新バッハ全集が完成していなかったため、一部旧バッハ全集によるしかなかった。そのため、ブックレットの歌詞とは少し違う場合がある。ここに印刷されている歌詞、そしてデュルの「バッハのカンタータ」に見られる歌詞は新バッハ全集によるものである、と。
実はこれは真実ではありません。
まずヘンスラーのブックレットにある歌詞は、まず間違いなく、デュルの本から取られたものです。
つぎにデュルは新バッハ全集による歌詞とは一言も言っておらず、ただ「ここにある歌詞は新バッハ全集と同じ方針で編集された」とだけ言っているのです。
デュルが「バッハのカンタータ」を書いたときには、まだ新バッハ全集は完成していなかったのですから、これは当然のことです。
それだけでなく、デュルの本にある歌詞=ヘンスラーのブックレットの歌詞は、当時既刊であった新バッハ全集の歌詞とも明らかに違います。
結局、新バッハ全集の歌詞は楽譜の中にあるだけで、その歌詞だけをとりだしたものや、新バッハ全集に基づいた対訳などは、今のところないと言って良いようなのです。
論より証拠で、新バッハ全集初期のBWV61他のテキストをいくつかアップしてみました。(36,40,61,62,63,64,132,197a)
「新バッハ全集版カンタータ全集索引」にリンクがありますので、お手持ちの歌詞(あればヘンスラーのブックレット)と比較してみてください。
http://www.kantate.info/NBA_cantata_list.htm