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タイトル Re^2: BWV36c/シュライアー指揮
投稿日: 2007/03/10(Sat) 15:19
投稿者七つの灯火 < >

端川哲堂さんから、メールを頂き、BWV36cの日本語訳を入手しましたので検証してみました。。

私が、アップロードしたBWV36cの訳は、修正せずに、当分、そのままにしておきますので、それと見比べながら、以下をお読みになると、わかりやすいと思います。

・第1曲
第1曲のドイツ語は、それほど難しくはありません。ただ訳は難しかったです。問題の第3行目は、杉山好訳では「いな、とどまれ!願いを抱く心は遠きかなたに失せるべからず」です。うまいですね。

第4行目"Das Dankbarkeit und Pflicht zu seinem Lehrer zieht."の"Das"は、定冠詞ではなく関係代名詞です。私も、最初、定冠詞かと思って訳しましたが、それだと、どうも、ドイツ語として、しっくり来ないので、よく調べたところ"Dankbarkeit"と"Pflicht"は、いずれも女性名詞でした。したがって、"Das"は、その定冠詞ではなく関係代名詞だと気づきました。"Das"は中性名詞単数"Herz"を受け、

Das(心は) Dankbarkeit und Pflicht(感謝と義務を) zu seinem(心の) Lehrer(教師に) zieht.(引いていく)
「心をほだす感謝の念い恩師のもとに引きとどむるなれば。(杉山訳)」

・第2曲
第2曲はドイツ語も、レトリックも難しかったです。私の訳は、ニュアンスが間違ってます。
杉山訳をみても、完全にはニュアンスをつかめません。私は、杉山好氏の訳は好きなんですが、たしかに「高踏的な訳でわかりづらい」です。下記は、彼の分かりづらい訳の一つでしょうね。

濃(こま)やけき恩愛を感ぜし心は、
限りなき愉悦の湧き起こるがままに
小さきおのが満足のうちにはよく留まりえず、
希望の眼いよいよ広き展望を捉えゆくがゆえに。
さやけき光のごとく立ち昇りて光輝を増すは
神の聖殿のうちなる熱き祈りの念い(おもい)なり。
しかして、尊き師の君らの誉れこそ
かかる心の北極星にして、かしこに引かるる磁石のごとく
心の願いと憧れはそを目ざして引き出さるるなり。(杉山訳)

第2曲は第1曲を受けているようです。つまり、現在の感情の高ぶり、恩師への感謝と敬愛の表明、です。
杉山訳が難しいので、第2曲を金八先生風に脚色してみました。

「先生、わたし、チョー感動してる
喜びが、スゴイわいてくる
でも、なんかいまいちピンと来ない
だって、わたし、いま何を言っていいのか分かんない
ただ先生は、いま輝いてるってことは、わかる
だめな生徒も愛してくれたし。雲の上の人みたいに思えるよ
それって、教師の名誉って思うよ
その名誉ってのは、例えて言えば、お星様かな
そのお星さまに願ったり、あこがれたり! とにかく先生を愛したいよ」

第3曲
第2曲が、ドイツ語、レトリックともに難しかったのに、第3曲はあっさりしてます。この詞は、ピカンダーの作でしょうか。もしそうだとしたら彼の特徴が表れていると思います。彼の特徴は、私は《マタイ》しか知りませんが、レチタティーヴォで深く知性に訴え、考えさせ、アリアで一気に感情を吐露する。そのコントラストが際だっていると思います。イタリアオペラの影響でしょうね。
端川哲堂さんご指摘の通り、この第3曲と第7曲の歌詞が、BWV36に転用されてます。
第7曲は、エディット・マチスが熱唱してます。第7曲の中間部"Es schallet kraftig in der Brust,"の"schallet"と"kraftig"の間にパウゼが入るシュライアーの指揮もいいです。あと、第5曲もBWV36に転用されているようです。

長くなりそうなのでこの辺で、ひとまずまとめをいうと、この作は、とくに第1曲的が音楽的に素晴らしく、また、第2曲の歌詞も凝ってるし、音楽と歌詞がうまくかみ合ってるので、一度かそこら演奏しただけで眠らせるのは惜しかったんでしょうね。大作BWV36に、うまく転用できてると思いました。


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