タイトル | : カンタータ186番〜黄金バット |
投稿日 | : 2006/08/03(Thu) 17:15 |
投稿者 | : Skunjp |
最近、胸が痛くなるような子どもの事件、事故が相次ぎ、心がふさいでいました。
先日も、例のプール事故と福島の児童虐待(ドッグフードまで食べていた!)の報道を、お昼休みに会社のTVで見て涙が出ました。その後、休憩室でひとりヘッドホンでバッハの平均律を聴きました。すると、心の底にオリのように溜まっていた悲しみが、音楽に乗せて洗い流されるようで、ずいぶん心が軽くなりました。
バッハの癒し効果って本当にすごいです!
福島の男の子(私の三男と同じ名前です)も、いつかバッハを聴いて沢山慰められて欲しいと切に思いました。
私自身も両親が離婚したりで、子どもの頃はあまり幸せではありませんでしたが、バッハの音楽で本当に慰められました。バッハの音楽がなかったら今の私はありません…
さて、カンタータの話題です。実はここ数日ひそかに186番「おお 魂よ、憤ってはなりません」を聴いておりました。
このカンタータの感想を書こうとすると、葛の葉さんのサイトの記述とあまりに違ってくるので、若干二の足を踏んでいました。 (^_^;)…しかし思い切って書きます。これは結構、良い曲ではないでしょうか?
特に第一曲。まず分散和音の通奏低音が切々とした悲しみを表現していて素晴らしいです。分散和音の通奏低音は、ヘンデルが甘い音楽を書くときによく使いましたが、バッハのは根本的に違います。もっと毅然とした音楽になっています。
それから、減7、増5度の音程で合唱がすべるように入ってくる辺りも、背筋がゾクゾクするほど美しいです。でも、この美しすぎる第一曲はあっという間に終わって、バスのレチタティーヴォになります。
この後のバスアリアも短い感じがします。というかこのカンタータに4曲あるアリアはすべて短く、長いものでも3分台で終わっています(鈴木盤では)。
ですから、曲の内容を充分に展開しつくしたという感じが薄く、気を付けて聴いていないとアッという間に終わってしまいます。この辺が不人気の理由かなとも思います。もっとも葛の葉さんの場合、酷暑の時期に聴かれたということも評価に影響しているんでしょう。(…やっぱり暑いとねー (^_^;)
とはいえ、第10曲のデュエットは、葛の葉さんも書いておられる通り、短いながらも結構、音楽的に充実していると思います。それから第一部と第2部の終わりにあるコラール合唱も美しく気の利いた曲です。
ついでに書いておくと、ビックリするのは第3曲のバスアリアです。
第2曲のレチタティーヴォでは 「ああ、主よ、どれだけ長くわたしを忘れているのですか?」という嘆きを受けて、第3曲のバスアリアが「あなたは私を救ってくださる方」と歌うのですが、この出だし(タッタ・ターの部分)がいかにも「正義の味方、黄金バット登場!」という感じで、一瞬、顔が笑っちゃうんです。(…おっと、笑っちゃいけない (^_^;)
まあ、これは演奏(鈴木さん)のせいかもしれませんが、でもこの盤は合唱とオケのピッチが純粋なので透明な悲しみが良く出てると思います。
あと、コープマンとリリングを持っていますが、これはまたいつか聴いてみましょう。