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タイトルコラールカンタータ年巻開始前夜の傑作定型カンタータ群
記事No797
投稿日: 2007/05/14(Mon) 17:43
投稿者旅の者
 昨年の今頃は、ライプツィヒの2年目、ツィーグラー・シリーズについてばかり話題にしていましたので、
 今年は、ちょっと1年目に目を向けてみることにしました。


 まず、1724年春の、聖金曜日以降のカンタータ等のラインナップです。


  *    *    *

 聖金曜日
   ヨハネ受難曲第1稿

 復活節 (ケーテン等のパロディで対応)
   BWV66、134

 復活節後 (すべて新作)
   第1日曜 BWV67
   第2日曜 BWV104
   第4日曜 BWV166
   第5日曜 BWV86
   昇天節  BWV37
   第6日曜 BWV44

 聖霊降臨節 (未使用作品、ケーテン等のパロディで対応)
   BWV59、173、184

 三位一体節後、コラールカンタータ年巻(第2年巻)開始。

  *    *    *


 上記の曲目を見ると、傑作ばかりで、さすがコラール・カンタータ年巻開始前夜、
 と、いう感じです。(もちろん、ケーテンのパロディも含めて)

 ケーテンのパロディのカンタータについては、これまで、さんざん書いてきましたが、
 復活節後と聖霊降臨節の間に注目してみると、
 バッハはなんと6曲続けて渾身の新作を準備しています。

 BWV67、104は、いまさら何も書くまでも無いような、
 みなさんおなじみの名作で、投稿もたくさんありますが、
 それに続く4曲も、あまり目立たないながら、それらに負けないような作品だと思いますので、
 今回、これらの4曲を、集中的に聴いてみることにしました。


 実は、この4曲、コラール・カンタータの先取り、というわけではないでしょうが、
 4曲とも、ある一定の厳密なルールに従って作曲されています。

 すなわち、

 第1曲が、聖句そのものを歌詞とする合唱、アリア等、
 (1年後の同時期のツィーグラーの歌詞が聖句を多用していることと、何か関係ある?)

 中央に、オブリガート付のコラール編曲を置き、

 その間をいつものアリアやレチタティーボで埋める、

 と、いうルールです。

 バッハは、まるで何かの実験でもしているかのようで、とてもおもしろいです。


 それでは、1曲づつ聴いていくことにします。
 もし、これらの曲を聴いた方で、何か感想等あれば、ぜひお聞かせください。

 (つづく)

タイトルBWV166、86
記事No801
投稿日: 2007/05/20(Sun) 08:44
投稿者旅の者
 第1年巻の最後を飾る「定型カンタータ」。
 まず、はじめの2曲、BWV166とBWV86を聴いてみた感想を、書いておきます。


 <BWV166>

 レオンハルト盤を聴きました。

 冒頭聖句楽章は、(演奏のせいでしょうか)まるで、オーボエもバスも、のどかに散策してるようなアリア。何度も立ち止まってあたりを見渡すかのよう。
(歌詞は「あなたはどこに行くのか」)

 次のテノールアリアは、VnとObの二重奏が美しい!
 Vnパートは第三者の追加である可能性もあるようですが、これは、あった方が断然いい、と思いました。

 次は、いよいよオブリガート付コラール編曲。
 心地よいリズムのストリングス+bcにのって、コラールが歌われます。少し、足が速まった感じ。(足取りが確かになった?)

 そして、レチタティーボの後、いつもの明るい、一点の曇りも無い舞曲。これは、メヌエットでしょうか。美しい!


 <BWV86>

 全集盤をそのまま聴いたため、こちらはアーノンクール。

 聖句楽章は、五声のモテット。
 つくりは、完全に声楽のモテットなのですが、歌うのはバスだけ。他の声部は、2本のオーボエやストリングス等の器楽で奏されるため、ルネサンス風な感じがさらに強まって、すばらしい!
 思わずくりかえし何度も聴いてしまった。
 こういうのも、アリア、というのでしょうか。
 他にあまり例が無いと思いますが、もっと書いてくれればよかったのに。

 第2曲、アルト・アリアは、がらっとかわって、Vnが華々しくコンチェルトみたい。

 次のコラール編曲。今度のオブリガートは、2本のオーボエです。

 その後はまた、レチタティーボ、舞曲風アリアというパターン。
 アリアの伴奏は、Vnの合奏になりますが、さらに華麗になっています。


 * 両曲を通じての感想。
 
 以上のように、完全にパターンが同じなため、とても、聴きやすいのですが、(歌詞の内容が把握しやすい)
 これがずうっと毎週続くとなると、やはり少し困るかも。
 そのあたりから、「コラール・カンタータ」のあの鉄壁の型式が誕生したのかもしれません。

 あとは、中間のコラール編曲が、どちらもやはりすばらしいできばえで、
 いつも言うことですが、シュープラーコラール集に入れたくなるほどです。

 それから、やはりわたしは、最後に登場する舞曲アリアに惹かれますが、
 2曲では、だいぶ感じがちがいます。
 166の方は、優雅で、ある種超然としたあゆみを思わせ、
 86の方は、生き生きと飛び跳ねるような感じです。
 これは、ひとえに、指揮者の個性によるのかもしれません。
 ほんとうにおもしろい二人だ。


 なお、昇天節のBWV37については、
(わたしは、「定型カンタータ」の中ではこの曲が1番好きなので)
 これまでにかなり書いてきましたので、そちらをご参照ください。
 あと、残りは、今日のカンタータ、BWV44だけですね。