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タイトル全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No399
投稿日: 2006/09/06(Wed) 00:13
投稿者旅の者
 コープマン全集がついに完結して、わたしたちは4種類ものカンタータ全集を聴くことができるようになりました。さらに、複数のシリーズも、後に続いています。(なんてしあわせ)

 この機会に、それぞれの全集についての感想を、書いてみたいと思います。
 何度も書いてきたとおり、わたしはどの全集もそろえてはいませんし、もちろん全部聴いていません。
 データ的なものは、こちらのHPにくわしいですし、個々の演奏については、たくさんの貴重な投稿がありますので、まずはそれらを参考になさってください。
 ここでは、あくまでも、個人的な印象みたいなことだけ。

 *   *   *

1、レオンハルト・アーノンクール全集(テルデック全集)

 わたしのカンタータ鑑賞の基本的なベースになっている全集です。
 はじめに何枚か分売CDを購入してしまったので、その後、中古店や図書館等でコツコツとそろえていきました。この全集だけは、ほとんどそろっています。(きちっと整理していないので、たまに欠落が発見されます)

 レオンハルト、アーノンクールの強力なカリスマ性のもと、現在の古楽界を代表するような演奏家たちが、まさにパイオニアとしての最高の演奏をくりひろげています。

 レオンハルトの指揮は3分の1ほどなのですが、
わたしにとっては、レオンハルトの全集という印象が強いです。
 レオンハルトの、どんなときでも微動だにしない超然とした演奏に対して、アーノンクールの方は、曲によってはかなり特徴的な場合があります。

 徹底した少年起用なので、一部例外を除き、女声のソプラノ・アリアはまったく聴けません。それでいいかどうかが、大きな選択の基準になりそうです。
 また、みなさんの意見によると、歌手のデキに相当バラつきが見られるようです。

 なお、レオンハルトとアーノンクールについては、このテーマ別室に、Skunjpさんが、演奏論を展開していらっしゃるスレがありますので、ぜひ、ご参考になさってください。
(No.17〜)


2、リリング全集(ヘンスラー全集)

 以前、リリングの演奏を聴いてあまりおもしろくなかったので、ずっとほっておいたのですが、このサイトのみなさんに教えていただいてから、聴く演奏、聴く演奏、みんなすばらしいので、びっくり。
 Skunjpさんではないですが、自分はこれまで何を聴いていたんだ、と言う感じです。
 あわてて集めているところで、現在4分の1ほど。このまま全部集めるつもりです。世俗カンタータも含めて。

 当然、現代楽器による演奏になりますが、当時のドイツ最高のメンバーが集結したという器楽奏者や歌手の競演、それをしっかりと包みこむリリングの信頼感あふれる指揮ぶりは、聴けば聴くほど味わいが増します。
 とにかく、何といっても、歌手がすばらしい!
(オジェーを筆頭に)
 カンタータは、やはり、歌です。

 と、いうわけで、この全集についても、みなさんの意見を参考にしていただいた方がよいと思います。
 葛の葉さんがめずらしくご自分でたてた、りっぱなスレがありますので。
(No.187〜)

 ところで、かんじんの、現在購入可能かどうか、ですが、
 わたしにはこれくらいしか見つけられませんでした。

 http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=903678&GOODS_SORT_CD=102

 曲目詳細は出ていませんが、Vol.3まであって、全60枚ほどなので、全集なのだと思います。まだ生産しているとよいのですが。
 なお、分売CDは、だいたい現役のようです。


3、レーシンク全集(ブリリアント全集)

 安価だったので、発作的に購入しましたが、やむをえぬ事情により、手離してしまいました。

 オランダの古楽団体による全集です。短期間で一気に録音されたため、演奏にムラがある、とよく言われますが、たまに、驚くほど良い演奏が混ざっているのも事実です。

 その際、気に入った演奏はみんな録音しましたが、かなりな数にのぼったことも書いておきます。


4、コープマン全集

 実は、日常的に手元において、いつもよくかけている、わたしにとって最も愛着のある全集がこれなのです。
 しかし、残念ながら高価で、レーベルが変わってからは、図書館、中古店にもほとんど出回らないため、なかなか手が出ません。

 わたしにとって魅力なのは、

 最先端の研究が反映されており、(ヴォルフ監修)
異稿や原曲の世俗カンタータ等もすべて収録した、マニアゴコロをくすぐる内容であること。

 現代のトップ演奏家、スター歌手がそろって参加していること。

 そして何よりも、さっそうとして美しいコープマンの指揮、それがわたしの好きな明るいカンタータにぴったりと合っていること、です。
 また、深刻な内容を持つカンタータについても、決して圧倒的な感動というわけではありませんが、誠実な演奏を聴かせます。
 通奏低音にリュートの響きが聴けるのも、大きなポイントです。

 21巻や最終巻など、ノドから手が出るほどほしいのですが、
CD情報のところで書いたように、ぐっ、とがまんして、全集での発売を、かたずをのんで待っているところです。

 *   *   *

 いずれにしても、大きな買物になるので、はじめにどれを買うか、というのは悩むところです。
 何かの参考になるとよいのですが。

タイトルRe: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No401
投稿日: 2006/09/06(Wed) 10:09
投稿者オーボエ協奏曲
> 2、リリング全集(ヘンスラー全集)
>  以前、リリングの演奏を聴いてあまりおもしろくなかったので、ずっとほっておいたのですが、このサイトのみなさんに教えていただいてから、聴く演奏、聴く演奏、みんなすばらしいので、びっくり。
>  Skunjpさんではないですが、自分はこれまで何を聴いていたんだ、と言う感じです。

 むか〜し、私の知り合いのお姉さんが音大出で、そのお姉さんがリリングの指揮は良くないと強い主張をしていたとのことで、リリングのCDは最近まで一枚も持っておりませんでした。BWV49が聴きたくてリリングのCDを1枚入手した訳ですが、聴いてみてその演奏に感激した次第です。古楽器の演奏のような鋭い音・強いアクセント・カウンターテナーの異様な声といった音楽以外の要素が耳につく演奏とは違い、旅の者様が仰るようにリリングの演奏はとても味わい深い、安心して聴ける演奏だと思いました。最近は個性的な演奏が多くて・・・

タイトルRe^2: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No412
投稿日: 2006/09/08(Fri) 17:53
投稿者Skunjp
> 私の知り合いのお姉さんが音大出で、そのお姉さんがリリングの指揮は
> 良くないと強い主張をしていた

罪作りな方ですねー。(I先生のお弟子さん?)



さて、旅の者さんの感想を大変興味深く読みました。

以下、私の感想です。

> 1、レオンハルト・アーノンクール全集(テルデック全集)
> レオンハルトの指揮は3分の1ほどなのですが、
> わたしにとっては、レオンハルトの全集という印象が強いです。

全く同感です。私は最初の半分を持っていないので図書館で借りて、それもレオンハルトだけをコピーしようと考えています。アーノンクールファンの皆様、ごめんなさい。



> 2、リリング全集(ヘンスラー全集)
> 当時のドイツ最高のメンバーが集結したという器楽奏者や歌手の競演、それをしっかりと包みこむリリングの信頼感
> あふれる指揮ぶりは、聴けば聴くほど味わいが増します。とにかく、何といっても、歌手がすばらしい!

これも同感です。リリングの魅力は「地に足のついた信仰」だと、私は思っています。つまりバッハカンタータ演奏の真実といったものを私はリリングの全集に感じます。歌手も皆巧い人もあまり巧くない人も、等しく「人徳」で聴かせる感じです。



> 3、ルーシンク全集(ブリリアント全集)
> 安価だったので、発作的に購入しましたが、やむをえぬ事情により、手離してしまいました。

やむをえぬ事情?それがいったい何なのか気になる所ですが…。私の場合は買った翌日に売り払ってしまいました。これを「短気は損気」と言います。…どうして売り払ってしまったのか?それは、やむをえぬ事情です。


> 4、コープマン全集
> また、深刻な内容を持つカンタータについても、決して圧倒的な感動というわけではありませんが、
> 誠実な演奏を聴かせます。通奏低音にリュートの響きが聴けるのも、大きなポイントです。

通奏低音のリュートがコープマンのコンセプトを良く現していると思います。ひとことでいえば「インティメート」ですね。従来、近づきがたいイメージのあった信仰の牙城「バッハ・カンタータの世界」を、グッと私たちの身近な所にひきつけた功績はとても大きいと思います。加えて歌手が良いですね。パドモアとメルテンスが大好きです。あと、女性アルトも良いですね。ただコープマンのCTのチョイスは時々「?」です。それからレーベルが換わって以降、オケが若干引っ込んだ録音バランスになりました。これで損をしていると私は思っています。



>>> その他、進行中の全集。あるいは、すでにその望みが絶たれたもの…

●鈴木雅明

言わずと知れた世界中が注目しているカンタータシリーズです。どういうわけか、日本では実力に比べてやや評価が低い気がします。私が最も好きなカンタータ演奏のひとつですが、この掲示板ではあまり話に乗ってくる人がいないのが寂しいです。

●ヘレヴェッヘ

濃密さとしなやかさで勝負します。すごく「ネーデルランド」している感じがします。(…どんな感じ? (^_^;))それからカトリシズムの匂いがするのですが、これもまた魅力です。ベートーヴェンなどやらずに、もっとカンタータ録音のペースを上げて欲しいです。

●クイケン

レコ芸では、「かつての生命感が失われた」と心配している評者がいました。私は、…ノーコメントです。

●ATMAの全集

ダニエル・テイラー指揮シアター・オブ・アーリー・ミュージックのCDが3枚ほどあり、その後、ミルンズ指揮のモントリオール・バロックのCDが2枚あるのでしょうか。ふたりの演奏はコンセプトが非常に似ていますが、爽やかな表情、バランスの良さ、テンポの適正さ、純正さ等、非常に好感を持っています。どちらかと言えば前者が好きですが。…続編が全然出ませんね。

●コワン

コワンが私的にチェロピッコロを弾きたかったのかしら?続編がぱったり途絶えています。後続は期待できないでしょう。

●ガーディナー

この人は大指揮者ですね。音楽的なふところが深くて大きい。しかし例のライブものは、有名曲だけでも再録してさらに完成度を高めて欲しいです。どこか目鼻の効くレーベルが実現させてくれないかなー。

●リヒター

ひとこと、天才ですね。私のカンタータ観は、これを揺りかごにして育ちました。非常に深く、激越で、深刻で、歓喜も爆発するようです。ただし天才ゆえ凡人とは視点が異なる場合があり、違いすぎるとイタイときがあります。

●ヴェルナー

人間的魅力に溢れる演奏。最初ユルフンに感じますが、はまるとトコトン好きになれます。

●トーマスカントルたち

ひとまとめにして済みません。どれも個性があってかけがえのない魅力があります。ラミンの原初の感動。トーマスのスケール感。Eマウエルスベルガーの滋味。ロッチェの明朗さ。どれも大好きです。

●ヴィンシャーマン

楽しい世界ですねー。もっと若い時に録音して欲しかった。

●シュライヤー

世俗カンタータが見事です。

●リステンパルト

穴馬的存在です。素晴らしい演奏があります。



※上記はあくまで私の私見です。気を悪くされた方がいたらごめんなさい。また、その他にもカンタータを入れた指揮者がおられることと思いますが、私はあまり聴いていないので割愛します。

タイトルRe^3: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No415
投稿日: 2006/09/08(Fri) 18:33
投稿者飛び入り者

わたしからも一点追加させてください。

●ジェフリー・トーマスとアメリカン・バッハ・ソロイスツ

KOCHレーベルから、私の知る限り6巻のカンタータ集と「ロ短調」「マタイ」を出しています。当時から店頭ではあまり見つからず、私は巻によってはアメリカのアマゾンに注文して取り寄せました。

リフキンのCDでは(当時は)ピンとこなかったOVPPが、このトーマス指揮のアメリカの団体の演奏を聴いたのがきっかけで、面白いと思うようになりました(といっても、この団体は、すべての作品をOVPPで録音しているのではなく、作品によります)。

21世紀に入って、ぱたりとリリースそのものがなくなりました。理由はわかりませんが、惜しく思っています。

タイトルRe^3: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No417
投稿日: 2006/09/09(Sat) 14:50
投稿者旅の者
 それなら、わたしも、一応つけたしておきます。

 ●ヘルマン・シェルヘンのシリーズ(ウエストミンスター)

 一般のクラシックの有名指揮者は、ほとんどカンタータを演奏しないので、貴重な記録だと思います。
 もっとも、シェルヘンも、けっして「一般」とは言いがたいですが。
(ブリテンのものなどすばらしいので、ほんとうはもっと、古楽、合唱系でない指揮者の演奏も聴きたいです)

 ●ミュラー=ブリュールのシリーズ(ナクソス)

 ソロカンタータを中心に、不気味にじわじわと、シリーズが進行中です。
 品揃えが自慢のナクソスですから、いずれは全集を揃えるのでしょうが、はたしてどのような形になるやら。

 以上、2点とも、ファーストチョイスとしては、なかなか抵抗のあるシリーズだと思いますが、
(わたしも決して、無条件におすすめはしません)
 勇気を出して聴いてみると、意外と味わい深いものがあります。


 ところで、ナクソスといえば、例のミュージックライブラリーに、(No.173の投稿参照)
 SDG以外にも、ATMAが加わっているようです。
 この勢いで、「チャレンジ・クラシックス」も、ということになればいいのに。


> わたしからも一点追加させてください。
>
> ●ジェフリー・トーマスとアメリカン・バッハ・ソロイスツ

 飛び入り者さん、こんにちは。
 このCD、ずっと探していますが、なかなか見つかりません。


> 私は最初の半分を持っていないので図書館で借りて、それもレオンハルトだけをコピーしようと考えています。

 Skunjpさん、
 この全集、やっぱりレオンハルトはいいなー、と思って確認すると、アーノンクールだったりすることが、よくあります。
 せっかく、苦労して集めるのですから、一応、録音(取込み?)だけでもしておいた方がよいのでは。(笑)

タイトルRe^4: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No418
投稿日: 2006/09/09(Sat) 15:53
投稿者葛の葉
さすがにめぼしい指揮者はほとんど出尽くしましたね。

まだ出てきていないのは…

○ウィンズバッハ少年合唱団のシリーズ
Thammが5曲、受け継いだBeringerが10曲ほど録音しています。
ソロ歌手も優れた人が多く、合唱が元気で、平凡の中の非凡という演奏。

○リチェルカールコンソート
最近新しいメンバーで録音を開始したようですが、どちらも素晴らしい。

○リフキン
1パート1人というスタイルの草分けで、今聴いても納得できる解釈を示しています。18曲。

○プロハスカ
ウィーンの芸術家たちによる美しく楽しいバッハ。
シェルヘンと同時代ですが、違和感ははるかに少ない。12曲。
50年代前半の演奏としてはレーマンと並ぶものではないでしょうか。

ところで
> 私の知り合いのお姉さんが音大出で、そのお姉さんがリリングの指揮は
> 良くないと強い主張をしていた

私もある本を読んで、「感動の総量はリヒターの選集に及ばない」みたいな話を信じていた時期がありました。
ヘンスラーのサンプルで実際に聴いてからも、まだ魅力を感じませんでした。
ところが全集を買って、何曲か聴いてみると、とんでもない名曲・名演がぞろぞろ。

カンタータ全集は完結が4種類、進行中が2種類ということですが、無人島に流されて、そのうちの一つだけを持って行くことが許されるとしたら、迷わずリリングの全集を持って行きます。

タイトルRe^5: 全部聴いてはないけれど〜全集についてのおおまかな感想
記事No420
投稿日: 2006/09/09(Sat) 19:03
投稿者端川哲堂
> さすがにめぼしい指揮者はほとんど出尽くしましたね。
>
> まだ出てきていないのは…
>

*ハンガリーの指揮者でパル・ネーメトというひとがいます。ピリオド楽器のオケ「カペラ・サヴァリア」を率いてカンタータを録音しています(世俗カンタータも含め7曲)。
ヘンデルの方が得意な人かもしれませんが、もっと録音してほしかったです。

*イギリスのモニカ・ハジェット、ロバート・キング、ハリー・クリストファーズ、ロイ・グッドマンといったひとたちにも、単発ではありますが、録音があります。

*他にも単発では、ドイツのヘルムート・ヘンヒェン、イタリア(スイス?)のキアラ・バンキーニなど、さらにフランスのドミニク・デバールというひとの録音もあります。

*世俗カンタータでは、ルネ・ヤーコプス、ハンス・マーチン・リンデのCDがあります。


全集版で全曲を聴くということは、もちろんすばらしいことだと思います。しかし上記のような単発CDを種々聴くこともまた楽しいものです(全集版を持っていない者のまけおしみも若干ありますが)。